大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和41年(ソ)5号 決定

抗告人

山岡弘光

右訴訟代理人

中村直美

相手方

山岡裕

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

記録によれば、つぎの事実を認めうる。

抗告人より相手方に対する不動産仮処分事件について、京都簡易裁判所は、昭和四一年八月二六日、別紙目録第一記載の仮処分決定をした(昭和四一年(ト)第八六号)。

相手方は、右仮処分決定に対し異議申立(昭和四一年(サ)第一、〇四九号)をなし、相手方の申立に因り、京都簡易裁判所は、昭和四一年八月三一日、別紙目録第二記載の仮処分執行停止・取消決定をした(昭和四一年(サ)第一、〇五〇号)。

本件即時抗告は右仮処分執行停止・取消決定に対する不服申立である。

よって、本件即時抗告の適否について判断する。

仮処分決定に対し異議申立がなされたときは、民事訴訟法第七五六条第七四八条に従って、同法第五一二条第五〇〇条を準用し、裁判所は、申立に因り、仮処分の執行の停止・取消の裁判をすることができ(最高裁判所昭和二五年九月二五日大法廷決定、民集四巻九号四三五頁参照)。仮処分の執行の停止・取消の裁判は、仮処分異議訴訟の手続に附随しその判決がなされるまでの一時的応急的な裁判の性質を有するものであるから、同法第五一二条第二項第五〇〇条第三項を準用し、仮処分執行の停止・取消の裁判に対しては、不服の申立が許されないものと解するのが相当である(同法第五四七条第二項に基づく強制執行停止の申立に対する裁判に対しては、同法第五〇〇条第三項の規定を類推して、不服の申立が許されないとする最高裁判所昭和四〇年七月二〇日第三小法廷決定、民集一九巻五号一二九〇頁参照)。

よって本件抗告を不適法として、却下し抗告費用の負担につき同法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり決定する。(小西勝 石田恒良 辰巳和男)

目   録

第一  仮処分決定(主文)

一、別紙第一物件目録記載の土地に対する被申請人の占有を解き申請人の委任する京都地方裁判所執行吏に其の保管を命ずる。

執行吏は右土地が其の保管に係ることを公示するため適当な方法をとらなければならない。

執行吏は右土地を申請人に使用させることができる。

二、被申請人は本仮処分決定送達の日より三日以内に前項土地上に建設せる別紙第二物件目録記載の建物及びトタン板塀を収去せよ。

三、被申請人に於いて前項期間内に前項の建物等の収去をしないときは、執行吏は被申請人の費用を以て之を収去することができる。

四、被申請人は右建物等の収去に至るまで第一項記載の土地に立入り、前項の建物に居住し、又は第三者をして居住せしめてはならず且つ右建物等の収去後も右土地に建物其の他の工作物を設置したりしてはならない。

第二  仮処分執行停止・取消決定(主文)

一、被申立人から申立人に対する昭和四一年八月二六日付仮処分決定(当庁昭和四一年(ト)第八六号仮処分事件)に基き同年八月二七日なした別紙目録記載の第一物件に対してなした仮処分執行は仮処分異議の判決があるまで之を取消す。

二、右仮処分決定中主文第二項乃至第四項の別紙目録記載の第一、第二物件に対する執行は仮処分異議の判決があるまで之を停止する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例